<月刊AMI>2010年10月号 Vol.111 ■△▽●○□


1.「本気」を実践する「〇〇バカ」

右に表すのは、京都にあるお客様の会議室に掲示されているポスターの内容です。
真ん中に「やる気」があって、その周囲に「本気」「勇気」「元気」「根気」の4つが書かれてあります。
この5つの「気」が大事だというのです。漠然とした5つのサークルの重なりですが、それぞれの「気」が関係しあっているのです。

 私は、「元気」や「根気」はある程度、外からチェックできますが、「本気」や「勇気」は、なかなかビジネスの世界では計り切 れないと考えるのです。
例えば、「元気」は表情や動きで分かりますし、「根気」も仕事ぶりで分かりますが、「本気」や「勇気」は外から見て判断しきれないように思うのです。

 そこで、「本気」を辞書で意味を調べますと「まじめな気持ち。真剣な気持ち。また、そのさま」と書いていますが、少し漠然としていいますので、仮に「何度も壁にぶつかり跳ね返されても挫けずに立ち向かう姿勢や思い」と言う風に私流に定義すると「まじめ、真剣な気持ち」という物が具体化できると思うのです。
同じように「勇気」を調べますと「いさましい意気。困難や危険を恐れない心」とありますが、私流に「失敗を恐れずに立ち向かう気持ち」と定義すると「困難や危険」に加えて未知のことにチャレンジする姿が映って来るのです。

 この「未知へのチャレンジ」で以前に「バカと呼ばれるまでやり続ける」という風な話を書いた事があります。
その一例として、某外資系の社員さんですが「入り日記バカ」とあだ名されている人と同行営業した事がありました。
なるほど、あだ名の通り、どこの会社に行っても「入り日記はどうなっていますか?」という質問から入るのです。
「入り日記」は、アパレル業界などで納品書のような仮伝票を指すようですが、要は、資材などの在庫管理の視点で見ると納品書で入庫処理をしないと数字がズレるということを質問しているのです。
しかし、この「入り日記」の一つ覚えが功を奏して担当の方と会話が始まり、相手の問題点に迫って行くのです。
この方は、その後、15年以上経過していますが、今では、東京の営業部長になっておられるのです。

 この某営業マンの話は、「本気」や「勇気」という意味ではそのものズバリではないですが、「へこたれずに何度も繰り返す」や「失敗を恐れない」という意味を含みながら「入り日記バカ」を実践していたのです。
ベテランの方には「何を今さら・・」という躊躇いの気持ちが働くと思います。確かに、若い人の方が「入り日記バカ」のようなことをやり易いかもしれませんが、私は、ベテランであっても「〇〇バカ」になれると思うのです。
新規の営業訪問などで「〇〇は御社ではどうされていますか」という切り出し話法として活用するのです。
例えば、スーパースリットナットを売り込むとしても「ゆるみ止めの工夫はどうされていますか」と切り出してお客様の現状を聞きだすのです。
これなら、年齢には関係ないものと思います。皆さんも何か「〇〇バカ」の〇〇を見つけて欲しいと思います。
これが見つかれば、きっと新しい世界が広がると思います。よろしくお願いします。


2。「さいごに」

今月は「本気」を取り上げました。
自分でも驚くのですが、営業の世界では、意外にカンタンにあきらめる人が多くなっているのです。
もっと粘り強くなって欲しいと思うのですが、誰もチェックしないので、次から次へと数をこなす事で補っているのです。
確かに、量をこなす事も重要ですが、「犬も歩けば・・」式では困るのです。
営業する人の感度と感性が問われるのですが、どちらも少し鈍感となって来ているように危惧しています。
「感性」は本来的に備わっている部分も多いのですが、「感度」は何度も壁にぶつかって、その反省から磨かれると思います。
そういう指導をする人が少なくなっている事が社会的な問題なのです。



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