<月刊AMI>2014年12月号 Vol.161 ■△▽●○□


1.「貪・瞋・痴」


 皆さんはTVを見ていてハッと気づくような瞬間がありませんか。私は結構あります。
あるニュース番組でお坊さんが瞬間的に出て来て「とんじんち」と話したのです。
ニュースですから1分もない話ですが、人間に備わっている108の煩悩を集約すると「貪・瞋・痴」(とんじんち)の3つの毒になり「三毒」と称しているとの事でした。
この言葉が気になったので、早速、メモをして、後で、ネットで検索しました。
メモが少し間違っていたので「貪 痴」で検索すると「三毒」が出て来ました。
いろんな解説がありました。さすがに、お坊さんの世界ですから、人によって解釈の仕方が違っていました。(こういう面も面白いですね。)

 こんな状況なので、ネットでの知識となりますが、共通する所をまとめてみると
「貪」・・貪(ムサボ)るという風に使うように欲望というものです。欲望には際限がなく困りものなのです。
「瞋」・・「瞋」=「怒」で怒るという意味です。不満な事柄への怒りは誰でもありますね。
「痴」・・「群盲像を評す」という言葉がありますが、浅い知識や思い込みで判断を誤ることがありますね。
これらを「三毒」と称し、さすがにお坊さんの世界ですね、あるお坊さんは「なにも思わぬは仏の稽古なり」とオチを書いておられました。

 これを素直に読むと「欲を持つな」「少々のことに腹たてるな」「訳のわからないことに手を出すな」となり兼ねませんが、こんな調子では無難過ぎて長い人生では覚束ないものになってしまいます。
お坊さんの世界と違って現実は厳しい競争世界なのです。
こちらが汗を流して作った見積を金額だけを変えて注文をとってしまう「生き馬の目をぬく」という世界なので、迂闊に見積を提出するのではなく、事前に相手と組んで有利な立場に立てるようにネゴをする事が必要な世界なのです。
行きすぎると談合という世界になりかねませんが、営業の前線は厳しい競争に晒されているのです。

 ビジネスの世界に生きている訳ですから、ストレスを避けていてはチャンスを逃がすばかりになりかねません。
お坊さんのいう「なにも思わぬは仏の稽古なり」を実践してしまうと競争から脱落してしまいます。
従って、前述のように「人間関係」を築いて出来るだけストレスを少なくする必要があるのです。
よくゲーム感覚と表現しますが、全体を見渡して囲碁を打つ感じでいることが大切です。
自分の打った手に相手が思いも寄らない手を打ってくるかもしれないし、凡ミスしてくれるかも知れないのです。
これは、個人としての腹構えも大切ですし、それを支援する会社としての施策も重要な要素になります。
お客様から「あなたも面白いが、会社も面白い企画を打ち出すね」と言ってもらえる施策がポイントになります。
この辺はしっかりと実践されています。

 そこで残るのは「選択と集中」なのです。
全てのお客様に時間をかけることは難しいので「重点顧客」と「伸ばす顧客」を明確にして、確実に企画をヒットさせて「流れ」を作り出すのです。
例えば、これから伸ばしたい商品の流れをつくるという風に戦略的に展開すると次につながるのです。
「種をまく」と言いますが、多くのお客様に紹介してこそ「発芽」のチャンスが出て来るのです。
折角、発芽しても全部が花が咲き、実をつけるとも限らないのです。
用心しながら「水をまき、温度管理」を行う必要があるのです。

 「貪・瞋・痴」から話が膨らみましたが、確かに「三毒」は行き過ぎると具合が悪いのですが、そうかと言って避けて通れるものでもないのです。
「人間力」と言いますが、この「三毒」の裏返しのように思います。
適度の「貪欲」であり、適度に「怒り」を見せ、適度に「痴」である方が人間として魅力があると思います。
しかし、適度という加減が難しいですね。
ぜひ、自分の魅力を開発する為にも「貪・瞋・痴」を意識しながら、少しずつ改善して行きたいと思います。


2.最後に
 今年も押し詰まって来ました。
皆様の1年は如何でしたでしょうか。
当社は、3年越しに展開していた展示会戦略で具体的にコラボの話が動くようになりました。
コラボですから「貪」をある程度含めて展開しないと相手も動かないのです。
自助努力を優先する主義ですが、小さな会社ではコラボ戦略で動かざる得ない状況もあるのです。
しかし、具体的なターゲットも見えていますので、このコラボを成功裏に展開したいと「貪・瞋・痴」の真逆を行っています。
度が過ぎないように心得ながら進めたいと思っています。


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