<月刊AMI>2015年3月号 Vol.164 ■△▽●○□


1.「顧客価値」


 右掲は、私が考える「顧客価値」の図式です。
お客様との接点は直接的には「商品・技術・サービス」(以後「商品」)なのですが、それは「人材」を介してお客様に提供されるという事を表しているのです。
一般に、「お客様が最初に思い浮かべる」という事が「顧客価値」の定義とも言われているのです。
これを英語で「First Call Company」と呼ばれる事にも通じるのです。

 私は、「お客様」と「人材」の間に「商品」がある、すなわち、「お客様」〜「商品」〜「人材」と考えていますが、実は、「お客様」〜「商品」という関係が強くて、「人材」という存在は薄い状態と考えているのです。
お客様に「○○も、あの人に頼む」と思わせるには、お客様に感動を与える「自分」を磨く事が重要だと考えているのです。
右掲は、「売る物3つ」を表しているのですが、お客様から見れば、「会社」>「商品」>「自分」という順なのだと表しているのです。
例えば、クルマなら「トヨタ」を思い浮かべ、「プリウス」という商品になり、ようやく、「自分」となるというのです。

 よく、「うちのお客様」とか「おれの客」と言うのですが、確かに、リピートする消耗品なら「商品」が上に来るので「会社」は選択肢ではないのです。
ところが、新規商品となるとこの関係性はゼロとなり、ブランドという要素が大きくなるのです。
お客様にとってのファースト・ブランドはどこにあるかという事です。
非常に世話になった営業がいれば、その営業マンの顔が思い浮かぶでしょうし、他人の評価に左右されやすい人は、メーカー・ブランドに傾くのです。
特に、女性は、この傾向が強いのです。

 しかし、一般のビジネスの場合、担当の営業がファースト・ブランドになる事が望ましいのです。
例えば、先のクルマを例にとれば、その営業マンが気に入れば、保険・点検・車検というようなサービスも営業マンに依頼するようになるのです。
従って、クルマには無料点検という物を設定して、営業マンとの関係性を強める機会をつくってあるのです。
この無料点検で2度目のコンタクトを作るという事なのですが、この意味を知らない営業マンが多く、ハガキになってしまうのです。
折角のチャンスを逃してしまうのです。

 このように、初めての取引ならば、お客様は「会社」も「商品」も「自分」も知らない状態なので、例えば、納期のかかる商品なら「いつ納められる」とか、納めた後も「満足をして頂けているか」と気にかけてお客様とコンタクトをとる事が重要なのです。
このサービス性が重要なのですが、なかなか、実践されないのです。
それでは、インターネットで物を買っても同じという事になり、「売る物3つ」が全てゼロになり兼ねないのです。
現在は、インターネットで殆どの物が買える時代なので、「売る物3つ」を再確認して「自分」という存在価値を高めて、「あなたから買いたい」と言ってもらえる関係性を築くことが重要なのです。
こういう関係ならば、「あなたが言うなら」とムリも聞いてくれる関係になるのです。

 今後は、インターネットがもっと利用されるようになると思います。
そうなれば、競争相手は極端に言えば、全世界にいる事になるのです。
高額商品ならば、高い運賃を払ってもペイする価格を出しやすくなるのです。
ぜひ、「お客様の一番の存在」になるように心掛けて頂きたいのです。
そのキーは、「気配り」という目に見えないサービスにあると心得て欲しいのです。


2.最後に
昔、船井総研で「時流適応力相応一番主義」という言葉を学びました。
「時流」とは目先の流行ではなく10年というスパンで見る物だと教わりました。
「10年先を読む」というテーマで書きましたが、まさに、この言葉と再認識しました。
「時流適応」は10年先の姿に向かって行くことであり、「力相応」は自分の出来ることで「一番主義」はイキイキとしていると読み替えることが出来るのです。
含みのある言葉と実感しています。


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