<月刊AMI>2017年3月号 Vol.187 ■△▽●○□


1.「ロングテール層」への対応策


 右掲は、ある会社の得意先を売上高の大きい順に並べた図表です。
このように並べると一般的にはイタリアの統計学者パレートが唱えた「80:20の法則」というものに従うのです。
すなわち、売上の多いお客様上位20%で全体の80%の売上高を占めると言われるものです。
また、図表をみると恐竜が頭を持ち上げた格好を想像させるので長い尻尾を引きずっていると見える事から低売上の層をロングテール層と言っています。

 マーケティングの言葉に「選択と集中」があります。
企業活動としてみれば、この層のお客様への対応策を講じておいて、上位層のお客様に戦力を集中するのが一般的な戦略です。
ロングテール層への対応策としてFaxやメルマガそしてWebなどを活用して情報発信する戦略が取られるのです。
右掲は、当社のお客様の事例です。「マルトク通信」と「イチオシ情報」の2種を毎月発信しておられます。

 「マルトク通信」は、営業マンが現場でお客様に絶対に話さない商品を掲載しており、「イチオシ情報」は会社方針で拡大したい分野の情報を掲載しています。
顕著な効果としては、「マルトク通信」ではクレベリンという季節商品があるのですが、女性配達員が現場でこのちらしを見せながらクレベリンを薦めると殆どの方が購入されて驚いたのです。
いかに現場での一声が効果的であるか伺われる事例です。
「イチオシ情報」では電動工具の電池パックのリユース(再利用)の提案で工場に山積みされていたリチューム電池を預かって帰り、外注先を驚かせたというビックリするような事例がありました。

 このような方策を講じた上で上位顧客への深堀戦略なのです。
日常は機械工具商と言えども殆どが消耗品の対応なのですが、消耗品の納入頻度を活かせて営業マン毎にコンタクト戦略を練っており、ある方は機械の商談、また、別の方は保守点検という風に自分の客層に応じた粘り強い提案活動をされており、日常の細かい消耗品の売上に物件の大きな売上をプラスオンされているのです。
まず、コンタクト回数が多いというアドバンテージで気配案件として聞き出す事が出来て、例えば、機械などは早くメーカーに見積依頼した方が優先するという大原則を活かされて機械の売上が増加しているのです。

 マーケティングでは「選択と集中」と言うのですが、実際には、ロングテール層への対応策を講じた上で上位のお客様を深堀するのが一般的です。
営業というのは「関係性」が重要ですが、上位のお客様とロングテール層ではやり方を変える工夫が必要なのです。
上記のお客様では、女性配達員が現場で「これ、いかが?」と一声をかけて「ついで営業」を行い、営業担当者は上位のお客様を中心に毎日の納品活動を行いながら、配達件数が少なくなった分、滞在時間を伸ばして雑談を交わしながら気配案件を聞き出すコンタクト戦略を展開されて「上乗せ」を行い深堀されているのです。

 最後に、ロングテール層ですが「切り落としてもよい」という覚悟が必要です。
幾ら女性配達員が行くと言えども人件費も燃料代もかかるのです。
これらを勘案した条件で取引できるように一般の消耗品などでは心掛けるのが大切なのです。
まして、請求書代や中には振込手数料の引き去りなどを考えると取引しない方がよいお客様が圧倒的なのです。
よほどの戦略性が見込めない限り情報提供だけでつないでおく事で十分なのです。
ご参考にしてください。


2.最後に
いよいよ3月に入り、各地から春の便りが届くようになりました。
また、この時期は移動のシーズンで転勤や学生さんの入学や就職などと引越しが重なります。
引越し業者の方々はこのピークを如何に乗り切るかで一年の業績が大きく変わるそうです。
1日1件ではなく数件併せ持ち、中継などを工夫して効率化しているそうです。
近年は通販が普及してドライバー不足が顕著になる中、引越し業はシーズン性が高いので厳しいと聞いています。
何事も大変ですが、シーズン性がきつい業界は本当に大変と思います。


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