<月刊AMI>2019年10月号 Vol.218 ■△▽●○□


1..「安定と挑戦」について

 安倍首相は閣僚人事のポイントとして「安定と挑戦」というキーワードを掲げて組閣に取組ました。
このキーワードは企業にも個人にも当てはまるものと思います。
例えば、個人の場合、年齢や家族構成にもよりますが、まず何よりも毎日の生活が安定する事が一番の課題です。
この「安定」には収入も大きな要因ですが、健康であったり成長であったりという人間的な要素が不可欠です。
家族の内、誰一人として健康や成長の面で不安があれば、その気がかりは大変な負担になります。
若い皆さまは、正にこの「安定」にご苦労されている事と存じます。

 しかし、この個人的な事でも「挑戦」が必要になります。
例えば、子供の成長にはいろんな挑戦が待ち構えているのです。
顕著な挑戦は進学という事です。
進学が全てではないですが、親心としては高学歴が人生に有利と思うので、学習塾などに熱心になっておられる方もいます。
また、才能を引き出すという点では、芸事やスポーツなどに熱心にされている方もいらっしゃいます。
このように、いろんな「挑戦」がありますが、毎日の生活が単調になるのを回避する為に外食や旅行なども企画して楽しんでおられる事と思います。

 ここで重要なことが一つあります。
おおげさに言えば「方針」というものがないと一貫性がなくなり、家族もバラバラになりやすく、かつ、費用も嵩みという事です。
家庭の収入は、普通ならば、ご主人のサラリーがあり、共働きなら奥さんの収入もあります。
さらに、子供のアルバイトやお爺さんお婆さんからの支援などもあるケース、副収入として株式の配当や売買益、不動産の賃貸益などもありますが、総額としては限界があります。
その限界の中で、将来発生するだろう事態に備える為に生命保険や積立貯金をするので、毎月の可処分所得は少なくなります。
その限られた可処分所得の中では、計画的に重点化しないと家計が火の車になってしまいます。
その計画性には「方針」として、家族の合意が大切だと思います。

 一方、肝腎の会社での働きですが、世の中は「働き方改革」とかで一日の労働時間を少なくして、その上、有給休暇などの取得を奨励しています。
つまり、働く時の効率を上げる必要があるのです。
簡単に言えば、収益が確保できる事に集中する事になります。
しかしながら、一般的に、「80:20の法則」と言って、収益性の高いお客様は少なくて、そうではないお客様が圧倒的に多いのです。
以前にDランク客や運賃の基準を決めると、返ってお客様が意識するようになって、まとめ買いをして頂けるようになった事例があります。

 つまり、会社にも「安定」と「挑戦」の相反する課題があるのです。
「安定」とは経費を賄える安定収益が最低限の基準です。
まずは、この安定収益源を確保する必要があるのです。
つまり、コンスタントに発注して頂ける販売店を含めて「受注残」が毎月発生するお客様のウエートを高める事になります。
できるなら「受注残」が数か月分見込めるお客様を増やしたいものです。その「安定」の為には、「集中と選択」で付加価値の高いお客様や案件を増やすことが大切です。
いわゆる「薄利多売」では忙しいが何も残らない結果になります。
その為には「別作品」という加工が伴う商品が多くなりますが、反面、加工メーカーのミスなどでトラブルのリスクもあります。
このリスクを小さくする改善も重要な課題です。

 そして、なによりも重要なことですが、意外に難しいのが「挑戦」です。
人の習性として「安定」を好む傾向があります。
換言すれば、「楽な事」に行きやすいのです。
営業の使命として、お客様との関係性を深める訪問や新規開拓、そして、協力して下さる会社などを開拓するという事で訪問活動が必要になるのです。
この新規のお客様や協力会社への開拓訪問がどれほど出来ているでしょうか。
「やらない理由は簡単にみつかる」と言いますが、そういう傾向はないでしょうか。
自ら「行動」を起こして頂きたいと思います。
この「挑戦」も個人の場合と同じで会社方針があれば、ターゲットを絞りやすくなります。
ぜひ、「方針」を共有して「挑戦」する集団になって頂きたいと思います。
2.最後に
 「安定」と「挑戦」の両立が大切ですね。
故船井先生は「保守8割革新2割」とおっしゃっていましたが、「革新2割」は難しいと思います。
しかし、ある地方の文具店はPOSレジのデータから売れ行きを調べて、売れが鈍くなった商品を特価台へ強制移動させておられました。
まさに船井先生の「売れないお店はつきのない商品が顔を利かせている」の教えを実践されていたのです。
強制的に「安定」を壊して新しい商品で「挑戦」なのです。
このような努力でブランド化をされて繁盛されていたのです。学びたいです。


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